《画家の娘 マティス嬢の肖像》 アンリ・マティス
よれた白目も、つぼめた口元も、帽子の影とハイライトも、少しエラの張った輪郭も、ああ、すべてがいとおしい。
児島虎次郎がこの絵をどうしても欲しかった気持ち、大切な絵を虎次郎に託したマティス嬢の気持ち、ああ、うつくしい。
(2011年 レビュー)
無国籍の、と例えるとこのご令嬢には失礼極まりないけれども、西洋とも東洋ともつかない、どこかにいそうな、どこにもいなさそうな顔立ち。さらりと簡素に描かれているようだけれど、なんだろうこの強い印象。雰囲気があって、大好きな絵。マティスってこんな絵も描くんだなあ、しかも自分の娘を描くなんてね、自慢の娘だったのかな、きっと心を込めて描いたんだろうなあ、なんて勝手に親心を察しながら見ていた。毛皮の襟巻のようなものがラグジュアリーだし、帽子に添えられた花のコサージュ?もアクセントになってて、お洒落。
それにしても、この顔の向き、マティスって左利きなのかな?とふと思ったりした。
これは2度目の大原鑑賞で目にとまった絵。今度訪れた時は、どんな絵に心惹かれるのだろう。