《髪》アマン・ジャン

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今から10年以上も前のこと、大原美術館を初訪した時に、展示室に入るとすぐにこの絵が出迎えてくれたことをよく憶えている。
その絵は、四角形じゃないというただそれだけで人目を引いていたし、乳房がぽろりとこぼれながらもちっとも恥ずかしげのない表情(悦に入っている!)は優美であったし、何はさておき、この女性の髪のたわわなること限りなし、だったのである。
しこうしてその絵の題名は、髪。納得。

私事ながら、私自身も相当な毛量を自負しているのだけれど、彼女の毛量にはかなわない。風前の塵。
察するに、あれはくせっ毛の太めのごわごわ毛髪で、さぞかし櫛の入れ甲斐がありましょう。背後のメイドさんに訊いてみたい。

この絵を描いたのがアマン・ジャンという画家だということをその時に初めて知り、大原美術館といえばアマン・ジャンとまで私の脳内にデフォルトされた。
事実、この絵は大原コレクションの第1号作品であるという、なんともメモリアル。

そしてその後2回ほど大原美術館を再訪した時も、やっぱりあの毛量にはかなわないと思ったし、この度、国立新美術館に出張展覧会でやってきて久しぶりにこの絵に会って、やっぱりかなわなかった。むしろ毛量増してるんじゃないかってくらい。

と、それは置いておいて、久しぶりに対面して思ったのは、豊満な髪も豊満なボディも、それすなわち、富。

2016年3月、「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」国立新美術館  にて鑑賞。